人口減少と、大学の差別化について
・10年後の2018年、18歳人口は11万人減少する。
・大学進学率は40%
・つまり、大学進学人口は2023年に、4.4万人減少する。
・2012年私立大学数は、580校
・1校あたりの平均学生数は約800人
・4.4万人とは、55校分に相当する。
・55校は、私立大学の約1%に相当する。
つまり、今後10年間で大学の統廃合や、競争の激化が予想されます。
これに対し、リクルート進学ネットの小林 浩氏は、
①留学生の受け入れ
②社会人大学生の受け入れ
を対策として挙げています。
私も、自分なりに、
大きな岐路に立つ私立大学は何をすべきかを考えてみたいと思います。
一言で言うと、
大学はもっともっともっと差別化を行うべきであると思う。
理由として・・・
→現在は、偏差値・学部学部以外の差別化が困難である。
→大学選択に影響を与えるその他の要因としては、
地域・建物や学生の雰囲気等がありうる。
→他には、人材輩出の実績、就職率、サークル、
留学率、スポーツ、研究実績等が大学側が売り出している
要素として挙げられると思う。
→よって、学生は、自分の学力×志望学科×その他
のファクターで絞り込みかけていると思われる。
→しかし、実態は、自分の学力×志望学科という選択軸が
非常に強く、それ以外の差別化がうまく行っているとは言えないと思う。
例えば、初対面の人と出身大学の会話になった時に、
大学名、学部学科の話をしたら、あとは「何を頑張ったか?(=サークル、バイト、留学etc)」
という個人的な経験の話に移ることが私の感覚ではフツーです。
つまり、この大学に入れば、あるいはこの大学のこの学科に入れば、
こういう力が身に着く・こういう経験が身に着く、というものが
ほとんどの大学で存在しないと言うことだと思います。
しかし、これが大学の魅力でもあるのは間違いないです。
大学は、個人の自主性が尊重され、個々人の自由な過ごし方が許される場所と言えます。
ところが、そんな一般的な大学と一線を画す大学があります。
話題の国際教養大学です。
グローバルビジネスリーダーの養成をミッションとして、
授業は全て英語、TOEFLが所定の点数に満たなければ進級・卒業できず、
全員が1年間留学をする大学です。
有名企業への就職率は、東京大学や早慶よりも上というから本当に驚きます。
最近まで、インターンシップが卒業の必須要件だったらしいです。
評判を少し調べてみるとは、もちろん批判も内外からあるが、
これだけ突出した取組みを行っており、また成果を出しているので、
いろいろ言われるのは仕方がないと言うがします。
例えば・・・
・アカデミックが弱い
・企業では使いにくい人材が目立つ
・大学生活を全く楽しめない
でも、これらの批判はどれも、国際教養大学の
設立者は予想通りなのではないでしょうか。
まず、アカデミックにについては、研究で成果を上げためには、
偏差値とはまた異なる研究ノウハウが必要であり、ここは
恐らく国際教養大学が狙っているポジションではないと思います。
また、死ぬほど努力をさせて、留学やインターン等、同年代の学生がしていない
経験を沢山させているのだから、少々生意気になるのも多少は仕方ないでしょう。
そして、大学生活を楽しみたい学生はそもそも入学して欲しい学生層ではないだろうと思います。
今後は、国際教養大学の様に、尖った、個性・強みのある大学が、増えていくのではないかと思う。また、学生に対して何かを「強制」させる大学が増えてくるも思います。
大学の個性・強みとしてとして、一番増える可能性があるのは、やはり就職・ビジネスに強い大学ではないかと思います。
アカデミックに強い大学と言うのも、もちろん特色に成り得えますが、研修職を目指していた経験から、学問の世界はビジネスより学歴が影響する部分が大きいと感じています。早慶上智・旧帝大以上を出ていないと、そもそも勝負の土壌にも上がれないことが多いという印象です。
そして、実際に、研究のノウハウもそう言った大学に集まっていて、論文の書き方・投稿・発表の仕方など、オープンにならない流儀や作法が業績に関係してくるため、
新興大学がそこに切り込んでいくには障壁が高いのではと思います。
一方で、就職やビジネスは、新興大学・偏差値50以下の大学でも
十分切り込んでいけると思います。採用の際に、偏差値で切っていたり、高学歴が大好きな企業もありますが、そういう企業に応募しないように、就職課がしっかり研究とアドバイスを行えばよいと思います。
以下、モデルとして「差別化校A」を想定し、
具体的な特色を挙げてみたいと思います。
差別化校Aでは、企業・NPO・官公庁などへの
長期実践型のインターンシップを必修にしている。
2年次、3年次の夏季・冬季休業にて、
2つ以上のインターンをこなす必要がある。
実際に働いてみないと仕事の向き不向きというのは中々わからないし、
社会がどうやって動いているかという現実もわからない。
学生は、実践型インターンを通じて、社会と自分をより深く知り、
社会に出るために必要な準備を、時に躓きながら進めていく。
また、差別化校Aでは、本気で打ち込むサークルあるいは
学生団体への参加を必須にしている。
長期実践型インターンシップであっても、学生である以上、
責任の大きな仕事は任せてもらえない。
実は、リーダーシップを発揮したり、リスクを取ってチャレンジしたり、
周りと衝突して揉まれたり、というのは実は学生同士の方がしやすものだ。
よって、大学卒業の要件にサークルや学生団体での副部長以上を経験するか、
あるいはゼロからそれらを立ち上げ、メンバー10名以上にする、
といったことを卒業要件に組み込んでいる。
さらに差別化校Aでは、コミュニケーション能力について、学部1年生から
体系的にオリエンテーションをしている。
今では減ったかもしれないが、私が就職活動をしていた時は、
自己PRで「コミュニケーション能力があります!」などと言う学生が少なくなかった。
コミュニケーション能力と一口に言っても、
様々な要素があって、プレゼンが得意なのか、交渉が得意なのか、調整が得意なのか、あるいは人と仲良くなるのが上手いのかで、職種の向き不向きは変わってくる。
自分はどの能力を伸ばしたいかを意識しながら、
インターンやサークル活動に取り組くむことで、さまざまなコミュニケーション能力を高めて行くことができる。
関東にある大学がこういった取り組みを始めたら、
国際教養大学にとってすら、大きな脅威になるのではないかと思います。
企業でのインターンなど、いろいろと活動がしやすいですから。
最後に、ビジネスプランニングに用いられる「戦略キャンパス」という、
企業の強みを分析するグラフを、独断と偏見で作成してみたのでアップしておきます。(いちおう検索などで調べましたが、ホントに独断と偏見なので、怒らないでください・・・)
また、私の学歴に対する種々のバイアスも入ってしまっていると思います。
都内中堅大学は全て「5点」になると想定して、
10点満点で12個の項目について評定しています。
戦略キャンパスについては、下記の本を参考にしました。
ビジネスの戦略について、初心者の私でも非常にわかりやすく読めました。
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